抜け毛・薄毛に悩んでいる女性は10人に1人の割合で、決して少なくない人たちが毎日鏡を見ながら悩んでいるようです。
女性の抜け毛は対策をすれば止まることが多いので、出来るだけ早く対策を始めたほうが良いですが、いったいどんな対策をするのがベストなのでしょう?
今回は女性の抜け毛対策をじっくり解説したいと思います。
本当にそれ、ただの抜け毛?
まず確認のために言っておきますが、人の髪の毛は毎日100本くらいは抜けるのが正常です。
どうでしょう?その範疇を超えていますか?
超えているようなら、何らかの脱毛症にかかっている可能性は高くなります。
体の異変で起こっている脱毛と、病気ではない脱毛症がありますので少し見ておきましょう。
どの脱毛症かを判断するのはお医者さんでないと無理なので、安易な自己判断は避けていただきたいですが、ある程度の目星はつくでしょう。
体の異変で起こっている抜け毛とは?
まずは、体に何らかの異変があり脱毛に繋がっているケースです。
自己判断で「普通の抜け毛だよ」と一般的な対策を始めてもなかなか良くなりません。
病気を見逃し進行する恐れもありますので、気になるほど抜け毛がある時は、まずは病院に行って原因をはっきりさせたほうがいいでしょう。
いわゆる10円ハゲ!「円形脱毛症」
あまりに抜け毛が多い時は、頭のどこかにハゲができてないかを探してみてください。
一部分がツルツルにハゲたところがあれば、それは円形脱毛症です。
抜ける時の自覚は特になく、気がついたらハゲていて、いつの間にか治っているものです。
気付かないのが普通だと思いますが、抜け毛も続いてハゲに気付くということは、頻繁に繰り返している可能性が高くなります。
円形脱毛症は、過労で心身が疲弊している時や、アトピー要因によっても発生します。
過労では、自律神経のバランスを崩すことによって頭皮への血流が悪くなり、一部分に脱毛を起こすものと考えられていますが、ストレスで自己免疫疾患を一時的に起こすのではないかとも言われています。
自分の免疫が毛根を敵と誤認し攻撃を仕掛けるために、一部分だけの脱毛が起こるという考え方が今は主流のようです。
治療法はステロイド剤を塗ったり内服する治療になります。
予防ケアではどうにもならない脱毛なので、円形脱毛症が頻発する時は病院へ行かないといけません。
マセラチア菌の異常繁殖が原因の「脂漏性脱毛症」
マセラチア菌とは、毛穴に潜んで皮脂をエサとしながら皮脂の中性脂肪を分解して暮らしている常在菌なのですが、皮脂の分泌が増えるとこのマセラチア菌も増殖します。
増えた分、中性脂肪の量も増えて、それが地肌への刺激となり炎症を起こすのが脂漏性脱毛症です。
頭皮の皮脂はあまり増やさないほうがいいのですが、男性ホルモンの影響で分泌過多になると言われています。
よって男性の方が脂漏性脱毛症は多いのですが、女性でもストレスが溜まってくると女性ホルモンのバランスが崩れ、男性ホルモンが相対的に増えて皮脂の分泌過多となってしまいます。
治療法は、1ヶ月~1ヶ月半ほどかけてマセラチア菌を殺菌するための真菌剤を塗ったり、抗アレルギー剤を服用したりして、症状が治まるのを待ちます。
炎症が起こってかゆかったり皮脂でギトギトになるので、つい頭をガシガシ洗ったり洗浄力の高いシャンプーを使いがちですが、それをすると炎症はなかなか治りません。
抜け毛ケアも同時に行うのは有効ですが、まずは頭皮の状態を正常に戻すことが先決です。
最近疲れがひどいなら…「甲状腺機能異常」の可能性も
女性になにか体調不良があり病院に行くと、必ずと言っていいほど首を触診されますが、あれは甲状腺に異常はないかを見ています。
それくらい女性に多く起こるのが甲状腺異常なのですが、甲状腺が亢進しても低下しても髪に悪影響があります。
というのも、甲状腺から出るホルモンは髪の発育に大きく関係しているからです。
甲状腺からたくさんホルモンが出る亢進状態では、代謝が良くなりすぎて髪の新陳代謝が早まり、伸びないうちに抜けてしまいます。
毛根から少し育ったところで発育過程が終了してしまい抜けてしまうんです。
身体症状としては、動悸、体重減少、倦怠感、発汗などがあります。
病院で甲状腺亢進と診断されると「バセドウ病」という病名が付きます。
甲状腺ホルモンが低下している時は、逆に代謝が落ち、髪の発育が弱まって細くなり抜けていくという、老化現象のような現象が起こります。
身体症状は、肌の乾燥、むくみ、体重増加、無気力などです。
病名は「橋本病」と言われる可能性が高くなります。
身体症状に自覚があり、そして抜け毛が気になる場合は早めに病院へ行かれたほうがいいでしょう。
体の異変じゃない抜け毛とは?
女性の抜け毛は病気だけとは限りません。
甲状腺異常や自己免疫疾患など、深刻な病気があるので安易な自己判断は危険ですが、女性の抜け毛のほとんどは、男性と同じメカニズムで抜けてくる「Fmeil AGA」が多いと言われています。
病気でない抜け毛は対策がありますので、体調に気になるところがなければ、こちらは早めに対策を始めていきましょう!
女性男性型脱毛症「FAGA」
男性の3人に1人が悩んでいるという男性型脱毛症「AGA」。
男性の薄毛原因のNO.1 なんですが、女性の脱毛原因でもNO.1となっています。
FAGAはAGAと同じように、男性ホルモンの作用で髪が細く弱くなって抜けやすくなります。
とは言っても、女性の場合、男性ホルモンが圧倒的に多くなることはなく、どんなに年をとっても女性ホルモンがなくなることはありません。
女性ホルモンは髪を太く健康に生やす働きがありますので、男性のように完全に抜けてツルツルになることはありません。
対策としては、頭皮ケアや育毛剤の使用、そして女性ホルモンを極力減らさないための生活習慣の改善が有効です。
紫外線でも抜け毛が増えます
紫外線が肌に良くないのは女性ならよくご存知ですよね!
肌へのダメージがあるのはよく知られているところです。
女性の皆さんは肌へのUV対策は完璧なんですが、髪の毛のUVケアはまだまだ知らない人も多いし実践している人も少数でしょう。
頭は体の中で一番紫外線を浴びる場所です。
そして肌と同じように日焼けします。
肌が日焼けすると、乾燥したりシミ・シワなどの老化が早まるのはよく知られていますが、頭皮も同じようにダメージを受けて、炎症などを起こすと髪が抜けやすくなります。
髪の毛1本1本もキューティクルが傷んでパサパサになってしまいます。
対策としては、
- 頭にスプレーするUVカットをする
- お出かけには帽子をかぶる
- 日をたくさん浴びたら炎症を起こさないように冷やす
- 刺激の少ないシャンプーで優しく洗う
などの対策が有効でしょう。
無理なダイエットも抜け毛の原因となります
髪の毛には普段食べる食事も重要です。
髪の毛も栄養を受けて、元気に発毛サイクルを繰り返しているからです。
無茶なダイエットで栄養が偏ると髪が充分な栄養を受けられず、だんだん痩せて弱々しくなり、やがて抜けやすくなります。
りんごダイエットなど一種類しか食べない、または、食べるけど非常に少食なダイエットは髪まで傷める可能性があります。
そういう極端なダイエットは体にとっては命の危機ですので、ストレスがかかり、女性ホルモンのバランスも崩してしまいます。
女性ホルモンが減ると男性ホルモンの影響で抜け毛が増えることにも繋がります。
対策としては、無茶なダイエットはやめて、バランス良く程よい量の食事を摂りながら、運動を増やしてダイエットをすることです。
出産後に抜け毛がひどくなる「分娩後脱毛症」
最近出産してませんか?出産後は抜け毛が増えるのが普通です。
これは女性ホルモンの減少が原因で、FAGAは加齢により女性ホルモンが減っていくのに対して、分娩後脱毛症は出産による女性ホルモンの減少で起こるものです。
妊娠中は通常時よりも女性ホルモンの量が増えます。
ですので、髪の毛も生き生きとして、いつもよりも抜けにくく、サイクルも長くなるので長持ちします。
しかし出産が終わると、今度は女性ホルモンが通常に戻りますので、今まで長持ちしていた髪が一気に休止期に入りドッと抜けることがあります。
長いと産後1年くらい脱毛症が続くことがあります。
しかし、多くは自然に治っていきますので心配は無用です。
子育てで忙しいですが、栄養をたっぷり摂り、できるだけ睡眠をしっかりとって産後の回復期を過ごしましょう。
また健康な髪が生えてきますので、あまり気にしないようにしましょう。
抜けたところが一気に休止期に入っているのですぐには生えてきませんが、頭皮のケアをして健康な髪が生えてくるように準備をしておきましょう。
抜け毛を防ぐにはどんな対策をしたらいい?
さて、いよいよ対策をお話します!
頭皮の血行を良くして、女性ホルモンの減少を極力防ぐ方法です。
頭皮マッサージを毎日しよう!
頭皮の血行を良くしておくことは、髪の健康にとってとても大事なことです。
髪の元である毛母細胞に栄養を送るのは血液です。
体全体の血行を良くしておくことも大事ですし、頭皮の血行を促して、隅々まで栄養が行き渡るようにしておきましょう。
肩こりがある時は頭皮の血行が悪くなりますので、肩こりもしっかり解消していきましょう。
頭皮マッサージのやり方です。
体を冷やさないようにする
体の冷えも血行が悪化する原因です。
頭皮にも血液が充分に流れませんし、女性ホルモンを分泌している卵巣も充分な働きをしなくなります。
髪の毛にはダブルパンチですね。
冷たすぎるものを食べるのは控えたり、毎日ちゃんとお風呂につかったり、冷えないように靴下を履いたり、お腹には腹巻きをしたりして冷えを防止していきましょう。
女性ホルモンを守る食事に変える
言うまでもないことですが、食事は美しい体を作るためにも、健康のためにも絶対に欠かせない要素です。
食事をきちんとせずに、いくら外からなにか塗っても無駄です。
髪の毛に大切な栄養素はタンパク質で、牛乳や大豆、肉、魚などに豊富に含まれています。
女性ホルモンの分泌を助ける、良質なコレステロールが豊富な卵も女性の体には最適です。
しかし、タンパク質だけ取るのは栄養バランスが崩れて良くありません。
糖質は減らしたほうがいいと言われますが、少しは摂っていかないと気力が減退してきますし、女性は鉄分も大切です。
男性に必要な栄養素というイメージがある亜鉛も、女性の健康な髪を作るために欠かせない成分です。
結局は、何でもよく食べて、バランスよく美味しく食べるのが一番です。
女性ホルモンの分泌を減らさない生活を!
そして、やはり生活習慣も大切です。
不規則な生活は女性はしないほうがいいでしょう。
よくご存知の通り、美容に多大なダメージがありますし、女性ホルモンも充分に分泌されなくなります。
女性の美しさは女性ホルモンが作っていると言っても過言ではありません。
生活習慣の中でも、特に気をつけたいのが睡眠です。
毎日、最低7時間は寝ましょう。
そうしないと、ホルモンの分泌を司る脳が正常に働かなくなります。
頭皮マッサージをしても食事や生活を整えても、女性ホルモンを出す脳が働かなければ、効果はあまり見られないでしょう。
上手にストレスを発散しよう
ストレスというのは、要は自律神経の「交感神経」のほうが優位になっている状態のことです。
交感神経は血管を収縮する働きがありますので、この状態を長く続けると血行が悪くなり、髪にも悪影響があります。
自律神経の乱れは体の様々な場所に悪影響があり、ホルモンバランスも崩してしまう大敵です。
ストレスを発散するということは「副交感神経」のほうを働かせましょうと言うことです。
副交感神経を働かせるには、
- ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
- 落ち着く音楽を聞く
- よく寝る
- 瞑想する
など、心が落ち着く事をすれば副交感神経は働き、副交感神経が働いている時は、血管も拡がり血行が良くなります。
しかし副交感神経優位になると、また違うトラブル(アレルギーなど)が出てきますので良くありません。
人間の体は、交感神経と副交感神経のバランスが取れていることで健康が整います。
タバコを吸っているなら減らす
タバコは血行を悪くします。
さらにビタミンを破壊するので、美容にも大敵ではありますが、髪の毛の生育にもビタミンは関わっていますので注意が必要です。
タバコが直接の原因になっているわけではありませんが、血液中にもニコチンが混ざり、血液状態はあまり良いとは言えないでしょう。
できればやめるか、本数を減らしていきましょう。
育毛剤を使う際の注意点
女性の髪の悩みを追っていると、男性用の育毛剤を女性も使えないかと調べている人が一定数いるようです。
男女兼用で使える育毛剤もたくさんあるので、調べたくなるのもわかりますが、中には男性しか使えない成分配合量のものがありますので、充分に注意してください。
女性は、女性用に販売されている育毛剤を使ったほうが安全ですし、臭いなども配慮されていて使いやすいでしょう。
男性用の強いものを使わなくても、女性用の育毛剤と上記の対策で髪がよみがえる可能性は高いのです。
女性ホルモンという天然の発毛剤を体の中にたくさん持っているのですから。
まとめ
髪は健康のバロメーターとも言えます。
頭皮は皮膚も薄く、ただでさえ血行が滞りがちな場所です。
そこで不規則な生活や無理なダイエットなどがあると、もっと血行や栄養状態が悪くなり、頭皮と髪は一番に不調が現れるところとなるでしょう。
頭皮の血行を促してあげて、育毛剤などで栄養を送って、そして体も食事や生活習慣で整えておけば、病気ではない女性の抜け毛は止まりますし、やがて髪も戻ってくるでしょう。